82: 名無し百物語 2016/02/16(火) 19:12:00.48 ID:k0pOjVvq.net
「無意識の狂気」
ある晴れた日の海辺のこと。二組のカップルが海水浴に来ていた。
四人は、ビーチバレーやらスイカ割やらで、リア充的充足ライフを満喫していた訳だが……。
その時、遠くから女性の叫び声が聞こえた。
みんなは、急いで声のする方に向かった。そして、声の主はメンバーの一人の女の子(仮に名前をA子としておこう)だった。
彼女曰く、
「クラゲに刺されちゃったの~」
ということだそうな。A子の足を見ると、足は真っ赤に腫れ、痛々しい様相を見せていた。
「大丈夫か?」
心配そうな表情を浮かべるA子の彼氏(以下、名前をA男とする)。
もう一組のカップルの方も不安げな顔でA子を眺めていた(以下、B男・B子とする)。
「病院で見て貰った方が、いいんじゃないか?」
A男は、A子の足を撫でながら言った。
「心配ないよ、痛みも引いてきたし」
A子の言うように時間が経つにつれて、クラゲに刺された痕は引いて行き、A子のスベスベの肌が戻ってきた。
四人は、いつの間にかクラゲの件は忘れ、そのまま遊びに夢中になった。
そして、花火を終えた、真っ暗な夜の時間。四人は、ホテルに戻って眠ることにした。
ホテルに戻った四人は、ホテルのロビーでしばらく談笑を楽しんだ。
金槌のB子を背負ってB男が、平泳ぎをしたこと。浮き輪をサメと間違えてA男がパニックになったこと。A子がクラゲに刺されて足が真っ赤になったこと。そして、A子の足が見た目には治って、何事もなかったこと。
そんな話を続けていると、いつの間にか深夜の一時になっていた。
二組のカップルはそれぞれの部屋に戻って眠ることにした。
A子は、ベッドの上で横になり、A男に『おやすみ』と囁き、瞼を閉じた。
ある晴れた日の海辺のこと。二組のカップルが海水浴に来ていた。
四人は、ビーチバレーやらスイカ割やらで、リア充的充足ライフを満喫していた訳だが……。
その時、遠くから女性の叫び声が聞こえた。
みんなは、急いで声のする方に向かった。そして、声の主はメンバーの一人の女の子(仮に名前をA子としておこう)だった。
彼女曰く、
「クラゲに刺されちゃったの~」
ということだそうな。A子の足を見ると、足は真っ赤に腫れ、痛々しい様相を見せていた。
「大丈夫か?」
心配そうな表情を浮かべるA子の彼氏(以下、名前をA男とする)。
もう一組のカップルの方も不安げな顔でA子を眺めていた(以下、B男・B子とする)。
「病院で見て貰った方が、いいんじゃないか?」
A男は、A子の足を撫でながら言った。
「心配ないよ、痛みも引いてきたし」
A子の言うように時間が経つにつれて、クラゲに刺された痕は引いて行き、A子のスベスベの肌が戻ってきた。
四人は、いつの間にかクラゲの件は忘れ、そのまま遊びに夢中になった。
そして、花火を終えた、真っ暗な夜の時間。四人は、ホテルに戻って眠ることにした。
ホテルに戻った四人は、ホテルのロビーでしばらく談笑を楽しんだ。
金槌のB子を背負ってB男が、平泳ぎをしたこと。浮き輪をサメと間違えてA男がパニックになったこと。A子がクラゲに刺されて足が真っ赤になったこと。そして、A子の足が見た目には治って、何事もなかったこと。
そんな話を続けていると、いつの間にか深夜の一時になっていた。
二組のカップルはそれぞれの部屋に戻って眠ることにした。
A子は、ベッドの上で横になり、A男に『おやすみ』と囁き、瞼を閉じた。
83: 名無し百物語 2016/02/16(火) 19:13:12.99 ID:k0pOjVvq.net
その晩、A子は奇妙な夢を見た。
何故だか、自分は硬い灰皿を握り締めている。その様子を、ぼんやりと眺めていたのだが、次の瞬間とんでもない事が起こった。
A子は手に持った灰皿で、隣で眠っていたA男を殴りつけたのだ!
何度も何度もA子は、A男の顔面を殴りつけた。そして、彼の顔面から噴水のような血飛沫が上がり、ベッドは真っ赤に染まっていった。
『止めて!』
A子は、心の中でそう懇願した。しかし、無意識の狂気に支配された彼女を止めることはできなかった。それでも尚、何度も何度も何度も何度も、A男の顔面を殴りつけた。
その顔はもはや、A男の顔とは言えず、醜い肉の塊と化していた。
そして、気が済むまで殴ったA子は、無意識のうちにベッドに入り、再び眠りに就いたのだった。
翌日の朝。
A子は汗びっしょりで、飛び起きた。
昨日は、酷い夢を見た気がする……。
A子は、夢の内容を反芻していた。
自分が、灰皿を持ってA男を殴りつけたこと。その時の自分は、自分自身を制御できず、恐怖心を感じたこと。そして、それは唯の夢だったこと。
その事をA男に話そうと、A子は隣のベッドに眼をやった。
その瞬間、A子の絶叫がホテル中に響き渡った。
真っ赤な肉片と化したA男の顔がベッドの上で蹲っていた。
今日見た夢は、『夢ではなかった』のだ。
A子の叫び声を聞いたホテルのフロント係が、慌てて部屋の中に掛け込んで来た。そして、彼らは言葉を失った。
後日、警察が来て調査のために三人は取り調べを受けた。
そのとき、A子はクラゲに刺されたことを警察に告げた。すると、警察は顔を見合わせ、驚愕の真実を語った。
「あのクラゲの刺には、恐ろしい毒素が含まれていまして……。その毒素にやられると、自分の潜在意識を制御できなくなるんです。それで寝ている間、あなたは無意識のうちに恋人を殺してしまったのでしょう」
A子は、この話を聞いて、海水浴に行ったことを深く後悔した。そして、刺された直後にすぐに病院に行けば、この不幸な出来事を防げたのかも知れない。
その後、A子は病院に入り、退院後A男の後を追う様にして自殺した。
何故だか、自分は硬い灰皿を握り締めている。その様子を、ぼんやりと眺めていたのだが、次の瞬間とんでもない事が起こった。
A子は手に持った灰皿で、隣で眠っていたA男を殴りつけたのだ!
何度も何度もA子は、A男の顔面を殴りつけた。そして、彼の顔面から噴水のような血飛沫が上がり、ベッドは真っ赤に染まっていった。
『止めて!』
A子は、心の中でそう懇願した。しかし、無意識の狂気に支配された彼女を止めることはできなかった。それでも尚、何度も何度も何度も何度も、A男の顔面を殴りつけた。
その顔はもはや、A男の顔とは言えず、醜い肉の塊と化していた。
そして、気が済むまで殴ったA子は、無意識のうちにベッドに入り、再び眠りに就いたのだった。
翌日の朝。
A子は汗びっしょりで、飛び起きた。
昨日は、酷い夢を見た気がする……。
A子は、夢の内容を反芻していた。
自分が、灰皿を持ってA男を殴りつけたこと。その時の自分は、自分自身を制御できず、恐怖心を感じたこと。そして、それは唯の夢だったこと。
その事をA男に話そうと、A子は隣のベッドに眼をやった。
その瞬間、A子の絶叫がホテル中に響き渡った。
真っ赤な肉片と化したA男の顔がベッドの上で蹲っていた。
今日見た夢は、『夢ではなかった』のだ。
A子の叫び声を聞いたホテルのフロント係が、慌てて部屋の中に掛け込んで来た。そして、彼らは言葉を失った。
後日、警察が来て調査のために三人は取り調べを受けた。
そのとき、A子はクラゲに刺されたことを警察に告げた。すると、警察は顔を見合わせ、驚愕の真実を語った。
「あのクラゲの刺には、恐ろしい毒素が含まれていまして……。その毒素にやられると、自分の潜在意識を制御できなくなるんです。それで寝ている間、あなたは無意識のうちに恋人を殺してしまったのでしょう」
A子は、この話を聞いて、海水浴に行ったことを深く後悔した。そして、刺された直後にすぐに病院に行けば、この不幸な出来事を防げたのかも知れない。
その後、A子は病院に入り、退院後A男の後を追う様にして自殺した。
84: 名無し百物語 2016/02/16(火) 19:13:42.40 ID:k0pOjVvq.net
感想貰えたら嬉しいです。
85: 名無し百物語 2016/02/19(金) 19:25:47.23 ID:5PawmZgb.net
>>84
彼を殺す動機が無くない?
存在意識の中で殺したいと思わせる何かがないとただの事故の話にしかならないのでは?
彼を殺す動機が無くない?
存在意識の中で殺したいと思わせる何かがないとただの事故の話にしかならないのでは?
86: 84 2016/02/19(金) 22:15:05.79 ID:nwK/pw80.net
>>85
鋭いね。
確かに言われてみればその通りかも知れない。
何かの伏線は入れとくべきかも知れないね!
鋭いね。
確かに言われてみればその通りかも知れない。
何かの伏線は入れとくべきかも知れないね!
87: 名無し百物語 2016/02/19(金) 23:14:24.03 ID:5PawmZgb.net
>>86
序盤引き込まれたしこれベースに伏線入れてまとめてみたらきっとグッと刺さる短編になるんじゃないかな。
動機次第では強い後味残せそう。
って偉そうにスマソ。
出来たら是非またうpして下さい。
序盤引き込まれたしこれベースに伏線入れてまとめてみたらきっとグッと刺さる短編になるんじゃないかな。
動機次第では強い後味残せそう。
って偉そうにスマソ。
出来たら是非またうpして下さい。
88: 名無し百物語 2016/02/20(土) 03:15:47.99 ID:f7qFW339.net
A子にはクラゲに刺された痕はなかったってオチになるように書き直したほうが怖い
元スレ:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/kaidan/1406623022/
コメント