14/10/10
小4の頃、弟が生まれるから実家に預けられてた時期があった。
ばあちゃんも爺ちゃんもすげー優しくて楽しい日々を過ごしてたんだが、ある日、トイレ行こうと思って12時ぐらいに起きたんだ。トイレは一階で俺がいた部屋は2階だったんだ。
階段下りて、トイレしてかえろうとしたら爺ちゃんがいる和室からうめき声が聞こえてきたから、爺ちゃん病気か?と思いふすまを開けたんだ。
そしたらじいちゃんが、うーんとか言ってうなされてえたんだけど、爺ちゃんの布団のすぐ横に、人型の真っ黒いなにかがジーッと爺ちゃんを見てるんだよ。
わけわかんなくて固まってたんだけど、うめき声の主が、その黒い何かなのはわかったんだ。
俺は霊感とかないんだけど、その黒いのがすげー怒って爺ちゃんをにらんでるのは分かった。
数分間そうして固まってたんだけど、不意に黒い奴が俺をにらんだんだよ。睨まれた最初はすごい怒りと殺気を感じたんだけど、だんだん怒りのオーラがなくなってったのがわかった。
そして泣き声?みたいなオォン…オォン…って言いながら消えてったんだよ。俺は怖すぎてもうわけわかんなかったんだが、そこから動けなった。
そいつがいなくなると爺ちゃんも落ち着いて、静かに寝始めた。
その部屋にいるのはもちろんこわいが、自分の部屋に帰る途中に黒い奴に遭うかもしれないと思うと、その場を動けなかった。結局その日はそこで寝たんだ。
次の日、爺ちゃんに夜中のことを話して、なんか知ってるか聞いたんだ。そしたら爺ちゃんはなかなか話したがらなかったんだけど、しつこく聞いたらこんなことを話してくれました。
爺ちゃんは若いころ学生運動をやってたらしいんだけど、あるデモの日、機動隊にデモ隊が投石やパイプなんかをして攻撃したらしい。
機動隊は、あまりの攻撃の激しさに撤退を始めたが、盾を持ってないガス銃を持ってた隊員が一人、デモ隊につかまったんだって。
その隊員は数十人にパイプやビン、角材で暴行されて重傷を負い意識を失った。するとデモ隊のリーダー格のやつが、その隊員にガソリンをかけてそいつの合図でデモ隊が一斉に火炎ビンを投げた。
隊員は燃えながらも途中で意識が戻り、必死に火を消そうとしたらしいが数十秒くらいして死んだらしい。じいちゃんはその現場にいて、ほかのデモ隊のやつらと一緒に歓声を挙げたそうだ。
それから学生運動のブームはすぎ、じいちゃんは普通に就職してばあちゃんと出会い、結婚し父が生まれたんだが、ちょうど子供が生まれたぐらいから、夜布団にその機動隊員が来るようになったそうだ。
機動隊員はただ何をするでもなく、怒りながらじいちゃんをじっと睨むんだそうな。
その話を聞いてから、俺は爺ちゃんとその後いっさい口をきかなかった。爺ちゃんがそんな人だとは思わなかったからマジショックだった。
後悔してるとか反省してるとか言ってたが、そんなんで許される分けねえだろごらああ!
爺ちゃんは数年前に病気で他界したが、死ぬ直前までごめんなさいと連呼してたんだって。もう機動隊員の方に申し訳なくて…
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