亀仙人
15/12/15
面白い話を聞いたので投稿させていただきます。話を聞かせてくれたのは、俺の曽祖父の友人で元戦友のSさんです。

このSさん、すでに90を超えるご高齢ですが、下手な若者より元気で好奇心旺盛、さらには行動力もあり、興味深い話もたくさん聞かせてくれるんです。

でも「俺ちゃん、ワシのひ孫は絵が凄く上手いぞ!俺ちゃんも、ひ孫に絵を習ってみんか?!」と言いつつ、薄い本を見せられた時は凄く反応に困りましたが…。

まあ、そんな愉快なSさんが終戦になって帰国し、本業である林業に復帰したばかりの頃。具体的には昭和22,3年ぐらいの事です。



その日Sさんはちょっとした用事があり、一人で山に入って作業していたのですが、少々トラブルがあって日没後の帰宅になったそうです。

暗い山道をスタコラ歩いていたSさんですが、ふと背後に気配を感じて振り向きました。すると、自分から10メートル程離れた場所に、骨格標本みたいに骸骨が突っ立てたそうです。

暗い山道で骸骨に遭遇したら、普通は驚いて動けなくなるか逃げるか、だと思います。

でもさすがというかなんというか、戦争に行ってた世代は違う。Sさんは骸骨に走り寄ると、そのまま蹴りをかましたそうです。

Sさんいわく「田んぼに足を突っ込んだような」感触だったそうですが、蹴った足はそのまま、骸骨の向こう側に突き抜けてしまいました。

『蹴りは駄目か、じゃあ殴るか』と思って拳を振り上げるSさん。

すると骸骨は両手を前に突き出して「ちょっと待ってくれ」みたいなポーズを取った後、そのまま消えてしまったそうです。

消えたものは仕方ない、という事で、Sさんはそのまま帰宅しました。

話を聞いた後、俺が

「それって、何だったんでしょうね?」と聞くと、Sさんは「まあ…骸骨だな」と、そのままの答えが返ってきました。

とりあえず、昔の人って強いんだなあ、と思った次第です。