15/05/29
20年くらい前の話。
私はスナックでバイトしていた。スナックには、雇われママとそのご主人がいて私ともう一人、5歳年上のお姐さんとで回していた。
みんな仲が良くて、私とお姐さんの送り迎えはご主人がしていた。ある時、このご主人から携帯で
「ちょっと早いけど迎えに行っていいか」
と聞かれて
「はい、お待ちしてます」
で、スナックに着くと、ご主人が
「夕べ、鍵しめて帰ったんだけど今日来てみたら椅子もテーブルもむちゃくちゃなんだ。鍵を持ってるのは俺だけだしなぁ」
店内はむちゃくちゃだった。
二人でそれを片付けて、
「今までも、たまにこんな事があったんだよなぁ」
「ママさんは知ってるんですか」
「うん、知ってる。一人でここに来ないようにしてる。繊細な人だから」
「お祓いとかしたらどうですか」
「客商売だしあまりしたくないな」
そんな事を話して、淡々と仕事をした。
後日、酔っ払ったママさんから
「あんた、テーブルや椅子が動くって聞いてやめないよね。」
「別に私に被害がないので」
「私は怖いよ。本当に怖い。今すぐ何もかも放り出したいけど…」
この話をした10日後、ママとご主人は夜逃げした。
お姐さんとちょっと途方にくれたけど私は別のバイトに受かり、お姐さんは実家に帰った。
あの、椅子やテーブルが動く現象がなんなのかわからないけどママたちの夜逃げ後、あの店に入る店子は半年くらい単位で変わっている。
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