555 名前: 5-1 2006/07/30(日) 02:27:02 ID:cAGuBicN0
俺には、幼馴染の女の子がいた。
家も近くて親同士の仲も良く、俺とその子も同い年ってこともあって
小さいうちから一緒に遊んで(遊ばされて)た。



まぁだいたいそういう関係ってのは、歳をとるにつれて男の側が
気恥ずかしくなって疎遠になってくものだけど、例に漏れず俺も
そうだった。小学校の高学年ぐらいになると、道ですれ違っても
「よう」
「やあ」

ぐらいのあっさりした関係になってた。

で、中学2年のときの夏休み、その子が突然、うちに来た。
とうもろこし持って。
たぶん、向こうの親に、うちに届けるように頼まれたんだろう。
俺はそう思ったし、向こうもそんな雰囲気だった。
あいにくその時、うちの親は外出してて、俺一人だった。
とうもろこしもらってハイさよなら、ってのもなんだかなー、と
子供ながらに気を利かせて「あがってく?」と彼女を家に入れた。

麦茶を出して、まぁあたりさわりのない会話をした。担任がどうとか
夏休みの宿題がおわんねーとか。だんだん打ち解けた雰囲気になって
きた時、彼女が不意に「今度○○神社行かない?」と言い出した。

556 名前: 5-2 2006/07/30(日) 02:28:29 ID:cAGuBicN0
○○神社は、うちから自転車で10分ぐらいのところにあって、
周りが木々で囲まれてて昼でも薄暗い、用がなければあんまり入り
たくないところだった。当然俺は「え、なんで?」みたいな感じで
聞き返した。そしたら彼女は「あ、怖いんでしょ。」と、ちょっと
馬鹿にしたような顔で笑いながら俺をみてきた。
そーなると、「そ、そんなことないやい!」的なノリになり、まぁ
結果的に彼女の術中にはまってしまったわけで。
さすがに夜は怖いんで、何とか理由つけて(夜は家族で外食するから、
みたいなバレバレの嘘)、次の日の昼間行くことにした。

で、当日。現地集合ってことで、俺が神社に着くと、彼女はもう
着いてて俺を待ってた。真っ白いワンピースと真っ白い帽子。
普段絶対しないカッコで、恨めしそうに石段に座ってた。
「おっそーーい」
昨日とはうって変わってフレンドリーな第一声をもらいつつ、
神社の前まで二人で歩く。石段を登る途中、彼女は俺にいきなり
「○○君は、霊って信じる?」と聞いてきた。




557 名前: 5-3 2006/07/30(日) 02:29:20 ID:cAGuBicN0
普段しないようなカッコで、人気のない神社に誘われ。
多少なりとも別のことを想像してた俺は、安心半分、がっかり半分
(幼馴染とはいえ、目がおっきくてちょっと釣り目で、猫みたいな
感じのかわいい子だったからちょっとがっかり)ぐらいの気持ちで
「信じるわけないじゃんw」と即答。

「じゃあ、今日で信じるようになるかもよ?」ととんでもない
事を言い出す彼女。
「私、霊とかそーいうの、好きなんだ」おいおい電波ですか。
「会いやすいように、白ばっか着てきたんだ」そーゆーことですか。

唖然としながらとうとう神社に到着。快晴ならまだしも、ご丁寧に
石段を登り出したあたりから曇り出し、嫌ーな暗さの神社一帯。

「じゃあ始めようか?」大きな目を更に大きく開いて、彼女が笑う。
彼女が言うには、神社の周りを二人が取り囲むように走って回る。
二人の合流地点で、すれ違いざまに霊が見える、といううわさが
あるらしく、実験の相手を探してたんだと。

「1周ぐらいだと見えるかどうか微妙らしいんだけど・・・」
けど何ですか。

「8周回ると、二人とも連れて行かれちゃうんだって」
勘弁してくれ。


558 名前: 5-4 2006/07/30(日) 02:30:08 ID:cAGuBicN0
とはいえ、男と女、幼馴染、同い年。断れない条件は揃っている。
引いたら負けだ。という心理には勝てず、結局やることに。

神社の入り口を出発点に、互いに時計、反時計回り。ちょうど
神社の裏に松の木が生えていて、そのへんが合流地点となる。

「行くよ・・・よぉーい、どんっ!」なんでそんなに明るい。

内心半ベソ状態で走り出す。神社の脇を抜け、松の木へ。
反対側から彼女が走ってくる。手を振ってるし、笑ってる。
周りには何も見えない。霊の姿なんてどこにもない。
彼女とすれ違いざま、彼女の「全然(見えない)」という
声だけが聞こえた。1周目はつつがなく終了。

そのまま2周目、3周目に突入。1周目で何も見えなかったことも
あり、俺も心に余裕ができ、向かってくる彼女に手を振ったり、
「いねーじゃん!みえねーじゃん!」と笑いながら叫んだりしていた。

対照的に彼女は、2周目、3周目と数を重ねるごとに笑顔が消え、
すれ違うときも無言になっていた。

「このぶんだと、8周したって全然おk」
そう思いながら迎えた7周目。彼女が俺とすれ違う瞬間、


強烈なラリアットを俺にかました。



560 名前: 5-5 2006/07/30(日) 02:33:22 ID:cAGuBicN0
不意の急襲に喉をやられ、悶絶する俺。
彼女は苦しむ俺の手を強引に引っ張り、「早く!」と神社から逃げるように走り出した。
わけもわからず一緒に走る俺。石段を下り終え、止めた自転車もそのままにして更に走る。

神社が見えなくなったあたりで、彼女はようやく足を止めた。

喉の痛みと走ったあとの息切れが収まり、ようやく彼女に文句を言った。
「何でラリアット???」

彼女が答える。「見えてなかったの?」

は、何がですか?別に何も、と答える俺。彼女は首を振りながら

「○○君の後ろ、2周目あたりから手とか顔とかが追いかけてきてたの。
 だんだん数が増えてって・・・7周目には○○君に絡みついてた。
 ○○君がそんなだったから、8周目はやめとこうと思って。」

もし8周してたら・・・ と俺がつぶやくと同時に、俺の背後から小さく

「ちくしょう・・・」呻くような声がはっきり聞こえた。

その声を聞いたかどうだか、彼女は
「私はともかく、○○君はやばかったね。家帰ったら、背中みてみな?」と、笑った。

彼女に言われるまでもなく、帰ったとたん、母親に
「あんた、どーしたのその背中?」

どーしたもこーしたも、シャツには手形がびっしり。
その一件以来、彼女にはいろいろと協力をさせられている。