894 本当にあった怖い名無し sage 2006/09/19(火) 01:02:30 ID:XoQAnnoH0
私が厨房だった時の事
確か秋だったと思う。ある夜、母と5歳上の姉、自分の三人で居間にいて、
私はそこで寝てしまい、23時近くなって母に起こされ、自分の部屋に
行ってベッドで寝た。



翌日の夜、当時美容師の卵だった姉がまだ帰宅していない時間(多分21時位)
に、母と二人で居間にいて、何か母が元気がないのでおかしいな、と思って
たんだけど、母が私に
「昨日○(私)が言ってたことね、○は知ってたの?」と言ってきた。
何のこと?私何か言ったっけ?と聞き返すと、母は口篭ってしまって
ちゃんと話そうとしない。
どうも私は寝ながら母と姉に何か言ったらしいが、私には記憶がない。
私寝ぼけてたのかなー?でも何を言ったのか気になるから教えて、と
母に頼んだが、ますます暗い顔をするばかり。
そんな母の様子を見ていると、それ以上追求できなかった。
そして翌日には忘れていた。

それから8年後、姉が結婚することになった。
両親はもちろん普通に喜んでいた。
母の様子にもおかしいところはなかった。

式&披露宴の前日、寝ようとしていた私に、母が深刻な顔で話しかけていた。
「あんたが中学生の頃・・・」
あの夜の事だった。私は、母に妙な事を言われたのは覚えていたが、
その前夜の事は相変わらず思い出せなかった。

898 894 sage 2006/09/19(火) 01:10:37 ID:XoQAnnoH0
「私、寝ながら母さんと姉ちゃんに何か言ったんだよね。
寝ぼけてたから今だに思い出せないけど。どうしたの急に」
私が笑いながら聞くと、母はその夜のことを話してくれた。

8年前、姉は当時付き合っていた彼氏(結婚相手とは違う男性)との間の
子供を妊娠した。
姉と恋人は結婚し子供を育てるつもりだ、と母に相談したが、二人とも
社会人になりたての18歳、その少し前までは2人揃ってDQNで
双方の親に心配と迷惑を掛け捲っていた。
家庭を持ち、責任を持って子供を育てるには2人は幼すぎる。
そう考えた母は、今回の子は中絶するよう説得し、最終的に2人はそれを
受け入れ、姉は母の付き添いの元手術を受けたという。

901 894 sage 2006/09/19(火) 01:18:59 ID:XoQAnnoH0
問題の夜は、姉が手術を受けてから数日後の事だったらしい。
私が厨房という多感な時期なので、両親と姉はこの件については
私には絶対に秘密、ということにしていた。
私が居眠りを始めたので、母と姉は「生まれてくるはずだった子には
かわいそうなことをしたけど、しかたがなかった」みたいなことを
小声で話していると、寝ている私が何かブツブツ言い始めたそうだ。
寝言だ、とさして気に留めなかった母と姉だが、何回目かに私が
言ったのははっきり聞き取れた。

「お前ら、母と娘の二代続けて同じ事をしやがって」

普段、大人しい口調の私とは思えない荒っぽい言葉遣いだったそうだが、
それよりもその言葉に2人は仰天したらしい。


902 894 sage 2006/09/19(火) 01:37:30 ID:XoQAnnoH0
姉は数日前に中絶した。
そして母も、姉と私の間に生まれてくるはずだった子を、
当時の生活の苦しさから中絶してしまった。
姉は当時3歳で、預けられるところもなかった(父は仕事を休めなかった)
ので、産院に連れて行かれたので、それを覚えていた。
だが家族の誰も、私には話したことがなかった。
なのに、私はそれを知っているような事を言って、二人を罵っている。

「畜生め」

いかにも憎々しくそう言って、私は黙ったらしい。

話を聞かされて、私はただビックリ。
姉と母の中絶の件は、もちろん全く知らなかった。
じゃあどうして、厨房だった私は寝ながらそんな言葉を吐いたんだろう。

姉はその後、いろいろあってその彼氏と別れ、真面目に仕事をしている
うちに今の彼に出会い、結婚することになった。
母としては、やはり姉の中絶、そして私の寝言が心に引っかかっていたに
違いない。
私としては、中絶の事実を知ったからといって、母や姉を軽蔑するような
気持ちは一切起こらないが(しょうがないことだったと思うし、二人とも
供養はちゃんとしているとのこと)、誰かが(祖先とか)私の口を通じて2人を
諌めたかったのかな、とそちらの方が気になった。
水子の怨念とか、そっち方面じゃないといいな、と真剣に願ったよ。

ちなみにその後、姉は子供を男の子を2人産み、今ではすっかり教育ママだ。
何でDQNっていざ自分が子持ちになると教育ママ・教育パパになるん
だろうねw

終わり