757: 1 03/04/24 23:53
小学生の頃の話です。ある日友人数人と私の家の周りで遊んでいた所、隠れんぼをしようということになり、N君が鬼になりました。私はとっておきの隠れ場所を知っていて、そこに隠れる事にしました。そのとっておきの場所とは、田んぼの土手にあった、古い防空壕です。

そこは土を掘って、組み木で補強しただけの単純な作りで、親からも入っちゃいけないと言われていたのですが私はその中に蝋燭や漫画本等を持ち込んで、秘密基地のようなものをつくっていました。古いもののせいか、入り口付近は崩れかかっていて、子供の私がしゃがみこまなければ入れないほどでした。

入り口から2メートルほど進んだあたりに畳二畳分ほどの小部屋があり、そこに蝋燭や漫画を持ち込んでありました。なんとか中に入った私は、蝋燭に火をつけると、漫画をパラパラ読んでいました。



758: 2 03/04/24 23:53
防空壕の中は土が踏み固められており、夏でも涼しくひんやりとした土の感触が心地よかった記憶があります。しばらくすると、遠くでN君の声がしました。「おーいもう降参だからでておいでー」私は(勝った)と思い、蝋燭を吹き消し防空壕から出ようとしました。

その時いきなりドサドサドサッという音がして、背中に思いものがのし掛かってくるような感覚に襲われました。一瞬なにが起こったか分からずパニックになりました。入り口から1メートルほどのあたりでしょうか。私の体は土砂に埋まり、完全に身動きが取れなくなっていました。

これはヤバイ。そう思った私は力の限り声を出しました。「助けてくれーー助けてくれーー助けてーーー」恐怖で、もう言葉とも悲鳴ともつかぬ声で狂ったように叫んでいました。しかしいくら叫んでも、聞こえるのは私の声だけで、防空壕の中はシーンと静まりかえっていました。

760: 3 03/04/24 23:53
いくら叫んでも外へ聞こえている様子が無いので、友人が近くの大人を呼んできてくれる事に期待して、静かに待つことにしました。暗闇と土砂の重圧の恐怖は不思議と感じなくなっていました。それよりも息が苦しくなってきていて、子供心に「しんじゃうのかなぁ」とか思っていました。

どのくらい時間が経ったでしょうか。私はふと、あることに気づきました。それまでは私の微かな吐息と、体を動かそうとして土砂が崩れるパラパラという音しか聞こえていなかったのですが、明らかにそれらの音とは違う音が聞こえているのです。

耳を澄ましてみると、子供の声のようでした。「もういいかーい?もういいかーい?もういいかーい?」確かにそう言っていました。それも、一人の声ではなく、たくさんの子供たちが一斉に言っているようでした。「もういいかーい?もういいかーい?」

761: 4 03/04/24 23:54
声はしばらく続いていたのですが、ある瞬間にピタっと止まりました私が頭の中で「もういいよー」と呟いた時です。すると今度は私の足を誰かが触っています。いえ、足だけではありません。体、腕、顔・・私の全身を、ひんやりとした手のようなものが、手探りするように私の体をぺたぺたと触っているのです。

しかもその手の数はどんどん増えていくようでした。さすがにもの凄い恐怖を覚え、めちゃくちゃに悲鳴をあげていたと思います。わたしが叫び続けている間にも手の数はどんどん増えて、しかも私を防空壕の中のほうへひきずろうとしているようでした。

その手は私を土砂の中からズボっと引き抜くと、私の体から離れていったようでした。そして私の耳元で、こう囁いたのです。「みぃつけた!」私はそこで気を失ってしまったようでした。

762: 5 03/04/24 23:54
気がつくと私は自分の家の居間にいました。周りには両親と祖父母が心配そうに私の顔をのぞき込んでいました。あの防空壕の中で、体中に真っ赤な手形がついた私が倒れていたそうです。いくら待っても私が見つからないので、友人が親に知らせてくれたようでした。

私はこっぴどく怒られたのですが、一つ不可解な点がありました。入り口が崩れて出られなくなっていた事を両親に説明したのですが、両親は崩れてなどいなかったと言うのです。確かにあの防空壕の入り口が崩れて、私は生き埋めになったはずでした。次の日、それを確認しに防空壕に行ったのですが、両親の言葉どうり入り口はちゃんと開いており、まるで私を誘い込んでいるかのようでした。

それから二度とその防空壕には近づきませんでした。後になって聞いたのですが、私が防空壕だと思っていた穴は、戦時中、軍の搾取で食料が無くなっていた時、口減らしのために子供をあの穴にいれて閉じこめ、餓死させていたそうです。数人の子供をあの穴へ入れ、一ヶ月ほど放置して死体を運び出し、また子供を入れて・・・そんな事が繰り返されていたそうです。私の事故があったからなのかは分かりませんが、今では完全にあの穴はふさがれているそうです。

715: 03/04/24 19:15
携帯でメールをしながら歩いていると、右膝に何か当たった。と思った次の瞬間、右側の地下通路への階段を子供が転げ落ちていくのが見えた。スタントマンのように横向きに回転しながら、だんだんと加速して転がっていく、2歳くらいの男の子。転落していくその間もずっとおれの顔を泣き顔で見続けている。おれは妙に現実感がなく、それを観察していた。

一番下まで落ちた子供は2,3度回転してうつ伏せで止まった。そのままぴくりとも動かない。やっとヤバイと気付いたおれは、他に人の目がないのを確認すると急いでその場を離れた。

そして3日経った。試験休みで昼まで寝ていて、飯を食うために降りていくと、母親が喪服にアイロンを当てていた。「今日お母さん、遠藤さん家のお通夜出ていろいろ手伝いするから。おでん作ったから夜はお父さんとそれ食べて」「うん・・・」おれがまだ眠くてボーっとしていると、母は「かわいそうに、拓海くんまだ2歳になって間もないのに・・・」と喪服を広げながら言った

716: 03/04/24 19:15
近所の子供だった。知りたくなくても情報は次々入ってきた。遠藤さん夫婦の、結婚して6年目に待ち望んでやっと授かった一人息子だったこと。夫婦はどちらも一人っ子で、どちらの両親にとっても初孫で、みんなが溺愛していたこと。1ヶ月前に2歳の誕生日を向かえ、まだ乗れない三輪車をプレゼントにもらったこと。その三輪車がお棺の横に置かれ、遺影も誕生日のケーキを前にしての写真だったこと。意識不明のまま入院していたその子が死ぬ間際に「まま、こわい」と言ったこと。・・・・・

聞けば聞くほど鬱になったが、おれは自分のせいではないと自分に言い聞かせた。おれにぶつからなくても転げ落ちていたかもしれないじゃないか。ちょろちょろしてるガキが悪い。目を離した親が悪い。おれは悪くない。おれのせいじゃない。休みが終わり、学校へ行った。階段を下りるとき、何かが膝の裏を押してガクッとなった。よろめいたが特になにもない。うしろにも誰もいない。何も思わず、少しだけ慎重に階段を下りた。

そして帰り道の駅の階段を下りる時。また何かがおれの脚を押した。後ろを見てもなにもない。・・・・だが何かの感触があったのは確かだった。1mにも満たない大きさの何かが、おれに体当たりしたような感触だ。

717: 03/04/24 19:16
体中の血が冷えた。動悸がして、おれは焦って早足で駅を出た。早く帰ろう。駅からつながっている歩道橋を降りて自転車に乗って、5分もすればもう家だ。歩道橋を歩き出したおれは、前から歩いてきた女の人と目があった。30歳前後のショートカットの女性。なぜか目を見開いて立ちすくんで俺を凝視している。

その時。『まま!!このひと!!!』真後ろから大音響で子供の甲高い声が響き渡った。おれは度肝を抜かれ、ここに居た全員が今のを聞いてしまった!と思いあわててその場から逃げ出そうと、階段へ走った。足がもつれる。そこへまた何かが脚にぶつかってきた。おれは階段から転落した。

718: 03/04/24 19:17
気がついたら病院だった。死なずにすんだ・・・・医者から説明を受け、母にむいてもらったりんごを食い、一人になって横になろうとした時、入り口のドアのすりガラスに小さい人影が映っているのが見えた。ぼんやりと見える男の子の影。ぺたっと手のひらがガラスに押し付けられた。おれは頭を抱えて目をつぶった。しばらくして目を開けると消えていた。

・・・・・遠藤拓海くんだ。おれを許さないつもりだ。あれから下りの階段に近づくたび、後ろから精一杯の幼い力でおれを押している感触がある。だからおれは出来るだけ階段は使わない。だんだんと、押す力が強くなっている。もし長い階段を下りなくてはいけなくなったら、今度こそ命がないかもしれない。

721: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/24 19:26
拓海くんが不憫・・・。゜(´Д`)゜。

806: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/25 03:58
霊などの超常現象の話ではないのですが、ゾクッとした私の実体験です。看護学生3年生の時に1週間実習で精神科病院に行きました。初日に病院内を婦長さんに案内してもらいました。拘束室(隔離部屋)も見せてもらいました。暴れてどうしようもない患者、他の患者を傷つける恐れのある患者を入れておく部屋です。古い旧館の奥に映画に出てくるような重い鉄の扉があり、そこを開けると短い廊下。そして、廊下に沿って同じような鉄の扉が2つありました。

そのうちの1つの扉を開けて部屋の中に入るよう婦長さんが私達に言いました。部屋の広さは普通の個室の病棟と同じくらいだったと思います。入ったすぐ脇にベッドが1つあるだけ。そして部屋の奥には鉄格子がかかった窓、その横に仕切りで区切ってトイレ(ドアはありませんでした。)と殺風景な部屋でした。でも、壁には無数の落書きを消した後が残っていました。

赤い時で大きく壁一面に書かれた「天皇陛下万歳」「我が大日本帝国ハ…(以下略)」、ベッドが置いてある側には黒い細かな文字でびっしりと「南妙法蓮華経南妙法蓮華経南妙法蓮華経…」。奥のトイレを覗くとそこも大量の落書きを消した後。筆圧が高かったためにくっきり残っている小さい文字で「○○○○(フルネーム)死ね…」と100回くらい書いた後に「殺したけど、もう1回死ね」。

私達は「マジヤバイ!洒落にならない」と言いながらトイレを出ようとした時に、トイレの仕切りの所に薄っすらと残っている落書きを見つけました。そこにはこう書いてありました。「おいしい肉それは人間」泣きそうになりました…

890: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/26 00:54
僕が小さかった時、両親と何処かへ出掛けて帰る時の事でした。何故か、その時何処へ行って来た帰りなのか覚えておらず、今は父が他界し母は元気ですが、僕は一人暮しをして居る事から、その事を聞く機会を逸してしまいました。本題に戻りますが、その日は丁度ゴールデンウィークの終りで、帰宅の途に着く車で家へと急く心とは裏腹に、車は遅々として進みませんでした。

父が苛立たしげに「ちっ」と舌打ちした事と、その時フロントガラスにぽたぽたと雨が一滴二滴当たった事だけは、18年経った今でもその光景だけが、切り取られた断片であるかのように、はっきりと鮮明に脳裏に焼き付いています。どういうやり取りがあったのか分かりませんが、どうやら混雑している国道を避け、未舗装の裏道を通る事になったようでした。

僕は疲れてうとうととして来たときに、がたん、がたんと揺れる振動とがしゅ、がしゅという定期的な音を立て続けるワイパーの音で目覚めた時は既に、真っ暗な山道のようなところを走っていて、眠る前には前後に沢山あった車が一台も見当たらない事に、子供心ながら不思議な気持ちと共に…心細かった事も覚えています。

891: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/26 00:55
その道を走り続け、どのくらい経ったかは分かりません。ただ、後ろから覗き見た母と父の表情が少々強張っていた事と、車内のぴりぴりとした雰囲気を僕は察し、母に「眠い」と言いました。母はただ一言。「目を瞑っていなさい」とだけ言いました。何時もは明るく朗らかな母の声が微かに震え、父は睨み付けるような表情で雨の帳の向うを凝視していました。此処で、両親と色々なやり取りがあったと思うのですが、残念ながら良く覚えていません。

眠かったのと、ぴりぴりした雰囲気が嫌で、僕は結局後部座席に身を投げだし、ぎゅっと目を瞑りましたが眠れません。雨の音に混じり、「やばいな」「どうしよう○○さん(父の名です。)、どうしよう」「南無阿弥陀仏」等々の両親の話が耳に入りました。目を開けようとすると、どうして分かったのか父が「寝なさい!」と強い口調で僕に言い、僕は仕方が無いので目を瞑り眠った振りをしていました。

何だか、凄く時間が経った気がしたのですが、同じ道を延々と走り続けていたような気がして、両親にばれないように、薄目を開け、フロントガラスの先のヘッドライトに照らされている木々に目を向けた時。そこに髪の毛が長い、女性が立っていました。虫の知らせでしょうか。その女性の事を幽霊というか、言ってはいけないものと直感していたのが今でも不思議です。

892: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/26 00:55
真っ青になり、震える手でハンドルを握りながらも、父は只管に道を走り続けました。数分くらい走った時、前方に白いものが見えました。それは、数分前に見た女性、その同じ人が同じように雨に濡れ、こちらの車を瞬きもせぬまま、見つめていました。

そして、行けども行けども、その女性は車の先を越すかのように、何度も何度も同じ姿で立ち尽くしています。僕は我慢出来なくなり、目を開けて母に抱き付きました。確か、酷く泣いた覚えがあります。僕が泣き付いたのと期を一にして、前方に立つ女性がとても優しい笑みを浮かべました。

父がその時、何を思ったのかは今はしる由もありません。ただ、突然急ブレーキをかけた事、そして車の先にぽっかりと奈落のような崖が黒々としたその口を開けていました。「橋梁工事中」確か、大意はこんなような標識が立っていたのと、その奈落の下から河のように水が流れる音が聞こえていました。

これだけですが、後は何も覚えていません。その女性はふっと消える瞬間、父を何故か指差して責めるような表情を浮かべている光景が、覚えている最後の光景です。父はその後、3年経って交通事故で他界しました。



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