409: 山道の怪談 03/08/16 23:10
大学時代、サークルの友人と二人で深夜のドライブをしていた。
思いつきで隣の市のラーメン屋に遠出して、その帰り道にくねくねと蛇のようにうねる山道を通った。
昼間は何度か通ったことがあったが、夜になるとこれが同じ道かと思うくらい無気味な雰囲気だった。
ハンドルを握っていたのは俺だったが、わりとビビリのほうなので運転をかわってもらったほうが気が楽だった。
しかし友人の山根はラーメン屋で勝手に一杯ひっかけていたので助手席で無責任な軽口を叩くばかりだった。

そんな時、「ここの峠って色々変な話があるよな」急に山根が声をひそめて囁いてきた。
俺は聞いたことがなかったが、「何なに?どんな話?」なんて聞くと、ヤツのペースだと思ったので興味ない風を装って「ああ」とそっけなく返した。
山根はなぜか俯いてしばらく黙っていた。



410: 山道の怪談 03/08/16 23:11
二車線だが対向車は一台も通らない。
申し訳ていどの電灯が疎らに立っていた。
無言のまま車を走らせていると急に大きな人影が前方に見えた気がして一瞬驚いたが、道端に立っている地蔵だと気付いてホッとした。
このあたりになぜか異様に大きな地蔵があるのは覚えていた。

その時、黙っていた山根が口をひらいた。
「なあ、怖い話してやろうか」
この野郎、大人しいと思ってたら怪談を考えてたな。
と思ったがヤメロなんていうのはシャクだったので「おう、いいぞ」と言った。
山根は俯きながらしゃべり始めた。

411: 山道の怪談 03/08/16 23:11
「俺の実家の庭にな、小人が埋まってるらしいんだよ。じいさんが言ってたんだけど。俺の家、古いじゃん。いつからあるのかわからないへんな石が庭の隅にあってな。その下に埋まってるんだと。

で、じいさんが言うにはその小人がウチの家を代々守ってくれている。そのかわりいつも怒っていらっしゃるので、毎日毎日水を遣りその石のまわりをきれいにしていなければならない。

たしかにじいさんやお祖母ちゃんが毎日その石を拝んでいるけど、そんな話ってあるのかなあ、と思って小学生の頃病院で寝たきりだった曽祖父のところに見舞いに行った時に聞いてみた。

曽祖父もちゃんと小人が埋まってると教えてくれた。それもワシのじいさんから聞いたと言っていた。子供にとっては気が遠くなるほど昔だったから、こりゃあ本当に違いないと、単純に信じた。」

412: 山道の怪談 03/08/16 23:12
山根は淡々と話しつづけた。
こんな所でする怪談にしてはずいぶん変な話だった。
山根は言った。
「小人って、座敷わらしとかさ、家の守り神のイメージあるよな。でも埋まってるってのが変だよな。俺、曽祖父に聞いてみたんだよ。なんで埋まってるのって」

そこまで聞いた時、急に前方に人影が見えて思わずハンドルを逆に切ろうとした。
ライトに一瞬しか照らされなかったが、人影じゃなかったみたいだった。
地蔵だ。
そう思ったとき背筋がゾクッとした。

一度通った道?
ありえなかった。
道は一本道だった。

「曽祖父はベットの上で両手を合わせて、目をつぶったまま囁いた。むかし、我が家の当主が福をもたらす童を家に迎え、大層栄えたそうな。しかし酒や女でもてなすも、童は帰ると言う。そこで当主は刀を持ち出し、童の四肢を切り離し。それぞれ家のいずこかへ埋めてしまった」

413: 山道の怪談 03/08/16 23:13
俺は頭がくらくらしていた。
道がわからない。
木が両側から生い茂る景色は変わらないが、まだ峠から抜けないのはおかしいような気がする。
さっきの地蔵はなんだろう。
二つあるなんて記憶に無い。
車線がくねくねとライトから避けるように身をよじっている。

山根は時々思い返すように俯きながら喋りつづける。
「それ以来俺の家は商家として栄えつづけたけど、早死にや流行り病で家族が死ぬことも多かったらしい。曽祖父曰く童は福をもたらすと同時に、我が家をこんこんと祟る神様なんだと。だからお怒りを鎮めるためにあの石は大事にしなければならん、と」

414: 山道の怪談 03/08/16 23:16
よせ。
「おい、よせよ」
帰れなくなるぞ、と言ったつもりだった。

しかし、同じ道をぐるぐる廻っているような気がするのと、山根のする話とどうも噛み合わなかった。
最初に言っていた<この峠の色々変な話>ってなんだろうと、ふと思った。
山根は続けようとした。

「これはウチに伝わる秘密の話でな、本来門外不出のはずなんだけど・・・」
「オイ、山根」
我慢できなくなって声を荒げてしまった。
山根は顔を上げない。悪ふざけをしてるようだったが、よく見ると肩が小刻みに震えているようだった。
「この話には変なところがあって、俺それを聞いてみたんだ。そしたら曽祖父がおまじない一つを教えてくれた」
「山根。なんなんだよ。なんでそんな話するんだよ」
「だから・・・・」
「山根ェ!車の外が変なんだよ、気がつかないのか」
俺は必死になっていた。

415: 山道の怪談 03/08/16 23:17
「だから・・・・こういう時にはこう言いなさいって。
ホーイホーイおまえのうではどこじゃいな
おまえのあしはどこじゃいな
はしらささえてどっこいしょ
えんをささえてどっこいしょ
ホーイホーイ」

心臓に冷たい水が入った気がした。
全身に鳥肌が立ちビリビリくるほどだった。
ホーイホーイという残響が頭に響いた。
ホーイホーイ・・・・
呟きながら俺は無心にハンドルを握っていた。
見えない霧のようなものが頭から去っていくような感じがした。

「頼む」
山根はそう言って両手を合わせたきり黙った。
そして気がつくと見覚えのある広い道に出ていた。
市内に入り、ファミリーレストランに寄るまで俺たちは無言だった。

416: 山道の怪談 03/08/16 23:17
山根はあの峠のあたりで、助手席のドアの下のすきまから顔が覗いているのが見えたと言う。
軽口が急にとまったあたりなのだろう。
青白い顔がにゅうっと平べったく這い出て来て、ニタニタ笑い、これはやばいと感じたそうだ。
俺に話したというよりも、自分の足元の顔と睨み合いながら、あの話を聞かせていのだ。
彼の家の人間が危機に陥った時のおまじないなのだろう。

「家に帰ったら、小人にようくお礼言っとけよ」と俺は冗談めかして言った。
「しかしお前がそういうの信じてたなんて以外な感じだな」
と素直な感想を言うと、山根は神妙な顔をして言った。

「俺、掘ったんだよ」

418: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/08/17 00:16
>>409->>416
ガクブル・・・凄く面白かったです!!

526: 中○峠その1 03/08/18 21:01
1999年12月10日、俺は福島県会津地方にあるN峠というところで自爆事故を起こした。
夜の9時過ぎ頃、峠道を下ってそろそろ人家が見え始めるというところで、ガードロープに激突。
原因は凍結路面でのスリップだった。
厳密に言うとガードロープを支える支柱に激突したんだが、ボンネットはグシャグシャ、エンジンルームの右半分が大破するような状態だった。
にもかかわらず、俺自身は運良くカスリ傷程度の怪我ですんだのだった。
ただし・・・激突位置がほんの少しでもずれていたら・・・
俺はたぶんその先の崖下へ真っ逆さまだったろう。

その事故から遡ること3週間ほど前。
俺は同じN峠を走っていた。
時刻は午後11時頃。
事故を起こした場所とは峠を挟んで反対の場所だったのだが、峠のてっぺんには長さ900mくらいのトンネルがあり、トンネルを抜けて1kmほど下ると金○橋という自殺の名所と言われる橋がある。
このあたりは、いつも走る時にはなんだかイヤ~な感じを抱きつつ走っているのだが・・・。
(続く)

527: 中○峠その2 03/08/18 21:01
(続き)
その橋に差し掛かる500mほど手前だったろうか。
俺の前を走っている車が、センターラインをオーバーして何かを追い越すような走行を見せた。

すると、前の車のライトに照らし出されて道路の左脇に人影が・・・。
ジーパンにスニーカー、トレーナーか?と思う服装だったが、若い男の後ろ姿だと見てとれた。
で、俺も続いてそいつを追い越そうとしたんだが・・・
俺の車のライトには浮かび上がってこないんだ、そいつ。
道路左脇は山肌の連続で隠れる場所なんかないし、道路右側は崖の連続だ。
何よりも前の車のライトから俺の車のライトに照明が切り替わるまで1~2秒じゃないか。
その間にいったいどこに隠れるっていうんだ。
俺は血の気が引いた・・・

後で聞いて知ったのだが、実はその場所で、ちょうど1週間前にバイクが大型トラックと正面衝突事故を起こし、バイクを運転していた若い男が即死したんだそうだ。
(続く)

528: 中○峠その3 03/08/18 21:01
(続き)
それから数日の間、俺は何人にもこの話をしゃべりまくった。
そして事故から1週間ほど過ぎた頃に行った、飲み屋でのこと。
隣に座った店の子が、「Mさん、何だかオーラが弱いわね~・・・」という。
聞けばその子、その人のオーラ?のようなものを感じることができるとのこと。
「ううん、違う・・・オーラに怒りが混じっているみたいなんだ・・・」と、言い直したかと思うと、突然、「Mさん、その事故の話はもうこれ以上誰にもしない方が良いわ」と言い出した。

でも、俺はその店に入ってからまだ誰にも事故の話をしてないぞ??
「オーラが、もうこれ以上話をするな、って怒ってるみたいだから・・・」
そう言ったかと思うと、急にこっちを向き直してまた彼女は言った。
「で、いったい何があったの?事故ったの?いつ?」
それから・・・やっぱさらに数人にも事故の話をしてしまった俺。
(続く)

529: 中○峠その4 03/08/18 21:02
(続き)
で、何事もなく2週間が経過したんだが、12月10日になって急に用事ができたため、再びあの峠を通るハメになった。
あの子に言われたのがひっかかっていた。
もうこれ以上誰にも話さない方が良い、と言われたことが・・・

イヤだな~、何もなければいいけどな~、と思いつつ、金○橋に差し掛かる。
何事もなく通過。で、例の目撃箇所。
・・・何も起こらない。
トンネル通過。下りに入る
・・・何も起こらない。

やがて、そろそろ人家が見えるかな、という場所に差し掛かった。
俺はホッとした、良かった~、何も起こらなくって~
・・・ん?
前方に、ジーパンにスニーカー、トレーナー?姿の男が見えるが・・・
でも、あ、あ、あ、頭がないぞぉ~~!!

で、急ブレーキを踏んだ俺。
凍結路面、スリップ、ハンドル操作不能、そしてガードロープに激突・・・
激突の衝撃でフラフラしながら車を降り、ガクガクしている手足を操りながらふと前方を見ると、道路脇にたたずみこちらを向いている男の姿が。

俺は思わずそいつに向かって手を合わせた。
「命だけは助けてくれてありがとう・・・」
すると、そいつは・・・
まるでチェシャ猫のように、俺の目前ですぅ~~っと消えていった。

476: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/08/18 15:05
小学5年生のときの話この頃仲間内でエアガンが流行っていて、よく撃ち合いをした。
どうでも良いけど、18歳以上用のエアガンと10歳以上用のエアガンはどう違ったのだろう。
冬場だったので分厚いジャンパーを身に着けていれば、頭以外は当たっても痛いとか感じなかった。
その頃のおもな戦場は、河原か神社どちらも人気のない場所だった。
(さすがに撃ち合いは親が許さないから)

あの日は神社で撃ち合いをした。
石段を登った上にある、夕方には不気味に感じられるところだった。
8人ほどで神社の入り口に集まり、じゃんけんをして4対4で分かれ、一方は石段の上の神社、もう一方は石段の上の鳥居に陣を構えた。
撃ち合い開始の合図で両チームが分散して撃ち合った、ひたすら撃ち合った・・・
ばらばらに散った俺の仲間が一箇所に集まって、陣地に篭った敵をを攻撃するようになると、「こと」が起きた。

478: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/08/18 15:14
476の続き
俺の仲間の一人がしゃがみ出した。
「ちょっと!!タンマ!!タンマ!!」
と怒り気味に言うので、相手チームにもタンマをかけた。

そいつが「誰?石投げたの?」と相手側に言うと、
「はぁ?俺じゃねーって」
「俺も違う」
「同じくー」
「俺じゃねーよ」
と揃った返事が返ってきた。

微妙にやな雰囲気が出てきた・・・
しかし、相手側の一人が「あっ!!あそこ!!タツオだ!!」と叫んだ。
みんなが「あそこ」を向くと、こっちに向かって石を投げる男の姿があった。
タツオとは、当時高校生でちょっとロリコンが入った奴で、町内に三つある小学校を巡っては「かわいい子いない?」と聞いてきた。
するとみんな「A小学校にいっぱいいるよ」と他の小学校に行かせたいために嘘を教えたりした。

なんでこんなところへ?
そしてタツオと俺達の戦いが始まる。

481: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/08/18 15:33
476の続き
ちょっと頭がおかしい子の行動にはみんな不安がよぎる。
俺達もそうだった。
ロリだけだと思っていたのに、こんな恐ろしい面があるとは・・・

「ヤバイよ・・・逃げようよ。」
一人が小さい声で言った。
仲間内のリーダ格が、「そうしよう石段は気を付けて降りれ」
「うん、もし追っかけてきたら?」
「銃で対抗しながら逃げる」
みんなが石段へ向かって歩くと、タツオはニヤニヤしながら両手に石を持って歩いてくる。

「ヤバイよ!!逃げよう!!」
一人が大声で叫んだ。
その声でタツオが石を投げてきた!!
こっちも負けずにエアガンで撃ち返す。
怯みながらも歩み寄ってくるタツオ、連射する俺達、負けずに石を投げてくるタツオ・・・

突然タツオが腕を抑えた。
誰かのが命中したらしい。
そこからは必死で石段を降りた。
うしろからは石段に当たる石が「ゴッ!!」っと音を立てて、降りる俺達の横を転がり茂みに消えていく・・・

やっとの事で入り口の鳥居につくとみんなが石段の上を見上げた。
タツオがニヤニヤしながら届かないのに何度も石を投げる姿があった。
怖くなりそれからは解散し、次の日担任に言ったら当然怒られた。

それからも小学校にタツオは来たが、神社の出来事をみんなが知っていたので、「タツオ帰れ!!」
「早く帰れ!!二度と来るな!!」
と帰れコールや追いかけをかけるうちに来なくなった。
一つ上の6年は掃除中に来たタツオとけんかになって、みんなで石を投げて追い払ったらしい。

帰省して仲間内で話した思い出話、ついでに肝試しで神社にも行きました。
タツオはいませんでしたけど・・・
あの時神社で誰かの頭にでも当たって、逃げられない状態になっていたらと思うとぞっとする。

元スレ:https://hobby4.5ch.net/test/read.cgi/occult/1060566377/